
2025年8月23日午後、阪神甲子園球場で行われた第107回全国高等学校野球選手権大会決勝戦において、沖縄尚学高等学校が日大三高等学校を3-1で下し、夏の甲子園初優勝を果たした。
これは沖縄県勢として2010年の興南以来15年ぶりとなる甲子園優勝であり、同校にとって春に続く3度目の甲子園制覇となる歴史的快挙である。
試合結果と経過
決勝戦スコア詳細
沖縄尚学 3-1 日大三(西東京)
- 会場: 阪神甲子園球場
- 観衆: 45,600人
- 試合時間: 2時間2分
イニング別経過
試合は両校一歩も譲らぬ接戦となった。
初回表、日大三が3番本間律輝選手の適時二塁打で先制点を挙げたが、沖縄尚学は2回裏に7番阿波根裕選手の左翼越え適時二塁打で同点に追いついた。
その後、4回に日大三が1死満塁の好機を作ったものの、先発の新垣有絃投手が冷静に後続を断って無失点に抑えた。
勝負を決めたのは6回裏。
先頭の宮城泰成選手が右前打で出塁し、2死二塁から4番宜野座恵夢選手が左前への適時打で勝ち越しに成功。
さらに8回裏、宜野座選手が2打席連続となる適時二塁打を放ち、3-1とリードを広げた。

Okinawa Shogaku player running after hitting the ball during the 2025 Koshien final against Nihon University Third High School mainichi
投手陣の活躍
新垣有絃から末吉良丞への完璧なリレー
沖縄尚学の勝利を支えたのは、2年生投手コンビの見事なリレーだった。
先発の新垣有絃投手(2年・背番号10)は、初回に長打を浴びて先制を許したものの、その後は持ち前の変化球を武器に相手打線を封じた。
8回2死一塁の場面で登板した末吉良丞投手(2年・左腕エース、最速150キロ)は、わずか1球で三ゴロに仕留めてピンチの芽を摘み、9回も日大三の反撃を許さず試合を締めくくった。
末吉投手は準決勝まで全5試合に登板し、計512球を投げ抜いていたが、決勝では救援として完璧な役割を果たした。
比嘉公也監督の偉業達成
選手から監督へ、26年間の軌跡
今回の優勝で最も注目されるのは、**比嘉公也監督(44歳)**の偉業である。
比嘉監督は1999年春の選抜大会でエースとして沖縄県勢初の甲子園優勝を果たし、2008年には26歳の若さで監督として春の選抜を制覇。
そして今回、夏の甲子園でも頂点に立ち、選手・監督両方での甲子園優勝を達成する異例の快挙を成し遂げた。
比嘉監督は会見で「見えない力を選手たちが力に変えて、一戦必勝で優勝できた」とコメント。
選手時代から指導者まで、沖縄野球の発展に貢献し続けている。

A pitcher from Okinawa Shogaku High School delivering a pitch during a game, highlighting their strong pitching lineup at the 2025 Koshien tournament chunichi.co
歴史的意義と記録
沖縄県勢の甲子園優勝歴史
沖縄県勢の甲子園優勝は以下の通りである:
年度 | 学校名 | 大会 | 備考 |
---|---|---|---|
1999年 | 沖縄尚学 | 春 | 県勢初優勝 |
2008年 | 沖縄尚学 | 春 | 2度目の春優勝 |
2010年 | 興南 | 春 | 初の夏優勝校 |
2010年 | 興南 | 夏 | 春夏連覇 |
2025年 | 沖縄尚学 | 夏 | 15年ぶり2校目 |
今回の優勝により、沖縄尚学は春2回、夏1回の計3度の甲子園制覇を達成し、沖縄県内では興南に次ぐ優勝回数となった。
大会での軌跡
沖縄尚学の2025年夏の甲子園での戦績は以下の通り:
回戦 | 対戦相手 | スコア | 内容 |
---|---|---|---|
1回戦 | 金足農業(秋田) | 1-0 | 完封勝利 |
2回戦 | 鳴門(徳島) | 3-0 | 危なげない勝利 |
3回戦 | 仙台育英(宮城) | 5-3(延長11回) | タイブレーク制す |
準々決勝 | 東洋大姫路(兵庫) | 2-1 | 接戦をものに |
準決勝 | 山梨学院(山梨) | 5-4 | 逆転勝利 |
決勝 | 日大三(西東京) | 3-1 | 初優勝 |
11度目の出場で初めて決勝に進出し、そのまま頂点まで駆け上がった。
注目選手たちの活躍
勝負強さを見せた4番・宜野座恵夢
決勝戦で2本の適時打を放った宜野座恵夢捕手(3年・4番)は、チームの勝利を決定づける活躍を見せた。
「沖尚として夏の優勝はまだないので、達成したい。県民も応援してくれている。期待に応えられるように頑張る」と決勝前にコメントしていた通り、有言実行の活躍だった。
イケメン投手として話題の新垣有絃
先発を務めた新垣有絃投手(2年・背番号10、最速146キロ)は、その端正なルックスでも注目を集めた。
名前の由来はダルビッシュ有選手で、母・由紀子さんが「イケメンになってほしい」と願いを込めて名付けたという。
優勝のご褒美として「脱毛」をリクエストしていることも話題となった。

Okinawa Shogaku baseball player celebrates during Koshien tournament match sponichi.co
県民の熱狂的応援
アルプス席完売、知事も応援
沖縄尚学のアルプス席は早々にチケット完売となり、玉城デニー沖縄県知事も現地で「頑張れ沖縄の子たち」と激励を送った。
那覇-大阪間の航空便も増便される盛り上がりを見せた。
応援団の中には、エイサーで観衆を盛り上げる「チョンダラー」の姿もあり、沖縄らしい応援スタイルで甲子園を沸かせた。
今後の展望と影響
沖縄野球界への波及効果
今回の優勝は、沖縄県の高校野球界に大きな影響を与えると予想される。
比嘉監督の「文武両道」の理念や、2年生投手コンビの活躍は、県内の他校にとっても大きな刺激となるだろう。
選手たちの進路への注目
特に末吉良丞投手と新垣有絃投手の2年生コンビは、来年度の選抜大会での活躍も期待され、プロスカウトからの注目度も一気に高まることが予想される。
まとめ
沖縄尚学の夏の甲子園初優勝は、比嘉公也監督の26年間にわたる努力の結晶であり、沖縄県勢として15年ぶりとなる歴史的快挙となった。
2年生投手コンビの成長、4番宜野座選手の勝負強さ、そして県民一丸となった応援が、この偉業を支えた。
深紅の大優勝旗が15年ぶりに沖縄の地に戻ることとなり、同校の春2回、夏1回の計3度目の甲子園制覇は、沖縄野球史に新たな1ページを刻むこととなった。

Okinawa Shogaku High School baseball players celebrate their 2025 Koshien championship victory with enthusiasm on the field okinawatimes.co
参考情報源:毎日新聞、日刊スポーツ、NHKスポーツ、読売新聞、西日本新聞、日本経済新聞、沖縄タイムス、スポーツ報知、ベースボールチャンネル等の公式報道に基づく


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