こんにちは、なおじです。
2024年パリ五輪の卓球男子団体準決勝で、日本はスウェーデンに「2試合連取からの逆転負け」を喫しました。続く3位決定戦でも、張本智和選手がマッチポイントを握りながら、フランスのフェリックス・ルブラン選手に逆転負けしています。
この試合は「なぜ張本は勝ち切れなかったのか」「なぜ日本はリードを守れなかったのか」という問いを、多くのファンに残しました。
そこでこの記事では、この一戦を手がかりに、「逆転負けは なぜ 起こるのか」というテーマを、元社会科教師・元バスケ部顧問の視点で整理しています。

この記事でわかること
- パリ五輪・張本智和の逆転負けがどのような流れで起きたのか
- 逆転負けの背景にある「リード側」と「追う側」のメンタルの違い
- 張本戦に見られた流れの変化を、スポーツ全般に通じるパターンとして整理する視点
- 元バスケ部顧問として見てきた「逆転されるチーム」と「逆転するチーム」の共通点と相違点
- 「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」をスポーツに当てはめた考え方
- 指導者が逆転負けを防ぐために意識したい声かけとタイムアウトの使い方
- 選手がリード時・劣勢時に集中を保つための「結果ではなくプロセス」へのフォーカス方法
張本智和の逆転負けから見える試合の流れ
試合の概要とスコアの推移
パリ五輪の男子団体準決勝で、日本はスウェーデン相手に2試合を先取しながら、最終的に逆転負けを喫しました。
団体戦の方式上、先に3勝したチームが勝ち抜けます。
この試合は、「あと1勝」に届かなかったための敗戦だったわけです。
続く3位決定戦でも、日本は地元フランスと対戦し、ここで張本智和選手の逆転負けが生まれます。
第2試合は、張本選手とフェリックス・ルブラン選手のエース対決でした。
張本選手は第1ゲームを13−11、第3ゲームを11−9で奪い、ゲームカウントで優位に立っていたのです。
それでも最終第5ゲームでは、マッチポイントを握りながら連続ポイントを許し、最後は正確なストレートを打ち抜かれて10−12で敗れました。
数字だけを見ると「勝てる展開」からの逆転負けであり、多くの視聴者に強い印象を残しました。
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マッチポイントから流れが変わった局面
第5ゲームでマッチポイントを握った場面は、試合の分岐点でした。ここでポイントを取れば勝利が決まるという状況は、選手にとって大きなプレッシャーがかかる瞬間です。
攻め切るのか、ミスを恐れて守りに寄るのか。その一瞬の迷いが、スイングのキレやコース選択に影響します。
結果として、張本選手は相手に連続ポイントを許し、最後はストレートを打ち抜かれました。
この流れは、単に「その1本が悪かった」という話ではありません。そこに至るまでのラリーの選択、サーブ・レシーブの組み立て、ゲーム全体で蓄積した疲労とプレッシャーなど、複数の要素が積み重なっていたと考えられます。
ここから先は、この局面を「逆転負けの典型例」として、より一般的なパターンに言い換えて分析していきます。
逆転負けに共通するメンタルパターン
リードした側に生まれる「守りの意識」と油断
リードしている側は、ある時点から「点差を広げること」よりも「この差を守ること」に意識が移りがち。
試合序盤から中盤にかけては、自分の得意なパターンで攻め、主導権を握ろうとします。しかし、優位に立った途端、「ミスをしたくない」「このまま終わらせたい」という気持ちが強まり、攻めの選択が減っていきます。
いわゆる「守りの意識」
これは、人間の心のありようとして当然であり、誰でもこのような心理はうごめきます。
当然この心の変化は、プレーにも表れます。
強気で打ち切っていたショットが控えめになり、リスクを避けるつなぎ球が増える。守備でも、ボールへの寄せが半歩遅れたり、相手の変化に対する反応が鈍くなったりします。
こうした小さな「守りの意識」の積み重ねが、相手にとっては反撃の糸口。じわじわと流れが変わる要因になっていくのです。
追う側に生まれる「開き直り」と集中の高まり
一方、劣勢の側には「もうダメだ」と諦めるパターンと、「ここから少しでも詰めよう」と開き直るパターンがあります。
後者のチームや選手は、残り点数や時間を冷静に計算しつつ、「次の1ポイント」「次の1本」に集中する傾向が強くなりるのです。勝敗の結果そのものよりも、目の前のプレーに意識を集中させることで、余計な力みが減っていきます。
この状態に入ると、プレーの選択がシンプルになり、迷いの少ないスイングやステップが増えます。結果として、攻撃の質が上がり、守備でも粘りが出てくる。
追う側の集中が高まる一方で、リード側が守りに入ると、両者の心理状態の差がプレーの差となって表面化することも。
張本選手は、こうして逆転された。
「守りの意識」と「開き直り」の心理のギャップが拡大したことで「逆転負け」が生み出された。
そう整理しています。
元顧問が見た「逆転されるチーム」と「逆転するチーム」の構造
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という言葉があります。
これは江戸時代の肥前国平戸藩主・松浦静山が剣術書『常静子剣談』に記した一文で、プロ野球の野村克也監督が引用したことでも知られています。
意味は、「勝つときには説明しづらい偶然もあるが、負けるときには必ず原因がある」というものです。
元社会科教師として歴史を教える中で、この言葉をスポーツの逆転劇にも当てはめて考えてきました。
👉関連記事:松浦静山とは何した人?わかりやすく解説
H3 逆転されるチームの特徴
部活動の現場で長く指導してきた経験から、「逆転されるチーム」にはいくつか共通点がありました。
最も大きいのは、リードした途端にプレーの基準が変わるチームです。これまで積極的に仕掛けていたディフェンスが控えめになり、オフェンスでもシュートを打つよりパスで時間を使うことを優先し始めます。
つまり、「自分たちのスタイルを貫くこと」よりも「失点しないこと」が優先されてしまうのです。その結果として、本来の持ち味である速攻や連動した動きが減り、相手に守りやすい形を提供してしまいます。
逆転された試合を振り返ると、多くの場合「リードしたときにこそ続けるべき形」を自分たちで手放していると読み取れます。
まさに松浦静山の言う「負けに不思議の負けなし」であり、逆転負けの裏には必ず何らかの要因が潜んでいると言えます。
H3 逆転するチームの特徴
逆転するチームは、点差が開いても冷静です。
もちろん焦りがゼロではありませんが、「残り時間と点差から何が必要か」を具体的なプレーに落とし込みます。
バスケットボールなら「あと3回は守り切る」「そのうち2回は速攻につなげる」といった形で、逆転条件をプロセスに言い換えることができるチームは強いのです。
このとき重要なのは、指導者の声かけ。
「まだいけるぞ」だけでなく、「ここからはディフェンスに全振りしよう」「このセットプレーだけはやり切ろう」と、具体的な行動を示します。
歴史の授業で扱う合戦、さらには一般社会・例えば選挙の逆転劇なども、スポーツの逆転劇と同じ。「前向きな気持ちの維持」そして、状況の整理とやるべきことの明確化。
これらがセットになって初めて逆転が可能になる。
Q&Aで振り返る「逆転負け なぜ 起こる」
Q1:張本智和の逆転負けは、運が悪かっただけでしょうか。
運の要素がまったくないとは言えませんが、マッチポイントに至るまでのラリーの選択や、ゲーム全体の流れの変化を見れば、プレッシャーや守りの意識が影響したと整理できます。
Q2:逆転負けを防ぐために、選手が意識すべきことは何ですか。
リードしているときほど、「あと何点」「あと何本」という結果ではなく、「次のプレーで何を徹底するか」に意識を戻すことが重要です。プロセス目標に集中することで、油断や力みを減らせます。
Q3:指導者はどのように声をかければ効果的ですか。
「気を抜くな」ではなく、「ここからはリバウンド徹底」「サーブレシーブだけに集中」といった具体的な行動を示す声かけが有効です。これにより、選手の意識を現在のプレーに引き戻せます。
Q4:逆転負けをした試合の振り返りは、どこから始めればよいでしょうか。
終盤だけを見るのではなく、リードを広げた直後からプレーの質やベンチの雰囲気がどう変わったかを時系列で追うと、最初のほころびを見つけやすくなります。その場面を特定することが、次への対策の出発点になります。
Q5:プロとアマチュアで、逆転負けの要因に違いはありますか。
プロの場合は技術や戦術の差が小さい分、メンタルやプレッシャーのかかり方が結果に直結しやすくなります。アマチュアでは、基礎技術やコミュニケーション不足も大きな要因として現れます。
筆者紹介|なおじ
元社会科教師として35年間教壇に立ち、中学・高校のバスケットボール部顧問として生徒たちと多くの試合を経験してきました。現在は7つのブログで、ドラマ・政治・歴史・スポーツ・旅・学びについて発信しています。スポーツ記事では、試合の流れやメンタルの動きを、教育現場での経験と歴史的な視点から丁寧にひもとくことを大切にしています。
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