10月13日、ついに「体が動いた」瞬間

そして運命の2025年10月13日がやってきた。
両国国技館でNEVER無差別級タイトルマッチが行われた。
挑戦者のEVILが悪徳集団H.O.T.の介入によって王座を奪取。
試合後、H.O.T.のメンバーがヤングライオンを痛めつけ始めた。
その時だった。
セコンドとして帯同していたウルフ選手が、突然リングに乱入したのだ。
場内がどよめいた。
黒いTシャツを着たまま、H.O.T.のメンバーに切れ味鋭い払い腰を連発。
最後は豪快なボディスラムで叩きつけ、場内は大喝采に包まれた。
バックステージで彼はこう語った。
「まだ練習生って立場だったので、リングの上で止めることはしてこなかった」。
「でも今日は、頭で考える前に体が動いてしまっていた」。
そして重大な宣言をする。
「正直、今の立場で僕が言っていいことではないと思うが」。
「1月4日のデビュー戦、EVILとやらせてください」。
練習生という立場を超えて、体が反応してしまった。
仲間を守りたいという本能が、彼を動かした。
これぞまさに、プロレスの「生き様」ではないだろうか。
2026年1月4日、東京ドームでの大一番
デビュー戦は2026年1月4日、東京ドーム大会「WRESTLE KINGDOM」に決定。
新日本プロレス年間最大の興行である。
相手は事実上、NEVER無差別級王者EVILだ。
五輪金メダリストが史上初めてプロレスデビューする、という歴史的な瞬間になる。
「ここから半年間、しっかりと準備していきたい」とウルフ選手。
「1.4デビューが特例ということも十分わかっている」。
「この半年間の過ごし方を考え、1秒1秒無駄にすることなく挑ませていただきます」。
言葉の端々に、真剣さと覚悟が滲み出ている。
デビュー戦までのカウントダウン
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| デビュー日 | 2026年1月4日 |
| 会場 | 東京ドーム |
| 大会名 | WRESTLE KINGDOM |
| 対戦相手 | EVIL(NEVER無差別級王者) |
| 準備期間 | 約3か月(2025年10月~) |
葛飾区で鍛えた「ウルフタイム」の源
ウルフ選手は東京都葛飾区の新小岩で育った。
中学・高校時代には、新小岩公園や荒川、江戸川の土手を毎朝走った。
「運動しやすい街だと思っています」と地元への愛着を語る。
「ウルフタイム」と呼ばれる延長戦での驚異的な強さは、葛飾区で鍛えたスタミナが源だ。
得意技の大内刈や内股は、100kg級ながら切れ味鋭いことで知られている。
この柔道で培った技術とスタミナが、プロレスでどう活きるのか。
2026年1月4日、その答えが東京ドームで明らかになる。
専門家の見方は「成功する」
元週刊プロレス編集長で柔道マガジンも手掛ける佐久間一彦氏は、こう予測している。
「ウルフ選手のプロレス転身は、彼が『プロレスが好き』だったことが大きい」。
「単純にお金を稼ぎたいのではなく、夢へのチャレンジだ」。
「お金を稼ぐための仕事であると同時に夢へのチャレンジでもある」。
「『プロレスをやりたい』という気持ちの面で、かなりポジティブな印象を受ける」。
両業界に精通する専門家が、こう太鼓判を押している。
ただし、過去には他競技からの転向で苦戦した選手もいる。
五輪金メダリストという肩書きが、時にプレッシャーになることもあるだろう。
しかしウルフ選手は「金メダリストの肩書やプライドは捨てます」と宣言している。
この潔さが、彼の新たな武器になるかもしれない。
「好きだから」という、人生最強の武器
考えてみれば「好きだから」ほど強い理由はないのかもしれない。
損得勘定もない。
世間体も気にしない。
ただ純粋に「好き」だから挑戦する。
29歳の五輪金メダリストが、10歳年下の若者たちと一緒に基礎から学ぶ。
これこそが、真の「挑戦」なのだろう。
柔道で頂点を極めた男が、再びゼロから夢を追う。
その姿は、多くの人に勇気を与えるはずだ。
「やり残したことがあるなら、何歳からでも挑戦していい」
ウルフアロン選手の決断は、そう私たちに語りかけている。
2026年1月4日、東京ドーム。
新たな伝説が、そこから始まる。

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