
2025年8月31日、北海道カントリークラブ大沼コース。
この日ほど「ゴルフの魅力」を感じた一日はありませんでした。
鈴木愛選手が-12で今季初優勝を飾った瞬間、会場に響いた歓声。
5バーディ・ボギーなしの完璧な68で回った元賞金女王の貫禄を、間近で見ることができました。
ただ、今大会で本当に印象に残ったのは、優勝争いではなく阿部未悠選手を取り巻く複雑な状況だとの声も…。
阿部未悠選手、-10で4位タイ!地元での意地を見せた4日間

数字以上の重みがあった今回の成績
阿部未悠選手は最終日18ホールで**-10の4位タイフィニッシュ**。
3日目終了時点の-8・6位タイから2打伸ばしての上位入賞です。
この結果だけ見れば「素晴らしい成績」の一言。
でも、彼女を取り巻く状況を知る人なら、この数字がどれだけの重みを持つか分かるはずです。
序盤の快進撃が物語るもの
最終日、阿部選手は序盤から攻めの姿勢を貫きました。
一時は単独首位に浮上する場面も。
地元ギャラリーの「頑張れ!」という声援が、いつもより温かく聞こえたのは気のせいでしょうか。
応援する人、複雑な思いで見守る人—様々な視線が交錯する中での戦いでした。
協会と選手、それぞれの立場と対応

JLPGA協会の苦渋の決断
今年5月、JLPGA小林浩美会長は謝罪会見を開き、**「たくさんの方にご迷惑とご心配をおかけして、本当に申し訳ございませんでした」**と頭を下げました。
協会としての処分内容は:
- 阿部未悠、川崎春花、小林夢果の3選手に厳重注意
- 新人セミナー第1~3日目の受講義務
- 栗永遼キャディーに9年間の出入り禁止
小林会長は「事実確認を行った結果、協会のコンプライアンス違反に該当すると判断」と説明。
一方で「処分内容の詳細は個人のプライバシーなので言えない」とし、「総合的な判断」だったことを強調しています。
協会が抱えるジレンマ
「コンプライアンスの周知徹底など、選手・協会全体で徹底していく。ケアも含めて、もっと私たちも頑張らないといけない」
この小林会長の言葉からは、協会の複雑な心境が伝わってきます。
選手を守りつつ、組織の秩序も保たなければならない—そんなバランスの難しさが感じられます。
阿部選手なりの責任の取り方
一方、阿部選手はどう動いたのか。
プレーヤーズ委員長就任は、他の選手からの打診を受けてのことでした。
「選手にとっても良い大会になるよう運営とは違う立場で力になれればと思っていた」と語っています。
そして7月、自ら委員長辞任を申し出ます。
「この時期になってしまったことについては、選手の皆さんにもご迷惑をおかけした気持ちがあります」
不倫騒動への直接的な言及は避けつつも、責任は感じている—そんな微妙なニュアンスが伝わってきました。
「沈黙」の背景にあるもの
報道陣の質問に対し、阿部選手は一貫して**「自分から言えることはありません」**と回答し続けています。
この姿勢を「逃げている」と捉える人もいれば、「JLPGA広報を通じて適切に対応している」と見る人もいます。
実際、法的な問題が絡む場合、個人が勝手にコメントするのはリスクが伴います。
協会の指導の下で対応している可能性も十分考えられるのです。

複雑に絡み合う関係者の思い
被害者への配慮という視点
忘れてはいけないのは、この問題で最も傷ついたのは栗永キャディーの妻である淺井咲希選手だということ。
同じ女子プロとして活動する彼女の心境を思うと、胸が痛みます。
ファンの反応も二分化
SNS上の反応を見ると:
支持する声:
- 「プレーで結果を示している」
- 「地元での頑張りは評価すべき」
- 「協会の指導に従って対応している」
批判する声:
- 「被害者への配慮が足りない」
- 「説明責任を果たすべき」
- 「プロ意識に疑問」
どちらの意見にも、それなりの理があります。
業界関係者の冷静な分析
スポーツ紙記者の中には、**「男性側により重い責任がある」**と指摘する声も。
既婚者でありながら複数の選手と関係を持ったキャディーへの批判は、実は女子選手以上に厳しいものがあります。
9年間の出入り禁止処分は「事実上の廃業」と言われるほど重いもの。
協会も決して女子選手だけを悪者にしているわけではないのです。
今大会のその他のハイライト
鈴木愛の圧巻のパフォーマンス
最終日の鈴木愛選手は別格でした。
14番・15番の連続バーディで流れを掴むと、最終18番でもバーディフィニッシュ。
**「この3日間、耐えるべきところは耐えている」**というコメント通り、勝負どころをを心得た戦いでした。
永井花奈の好スタート
初日に2年ぶりの首位スタートを切った永井花奈選手。
序盤から予想がつかない展開で、最後まで目が離せない大会とでした。
大出瑞月選手の粘りの2位タイ(-11)

プロ10年目、悲願の初優勝を目指す大出瑞月選手。2日目には一時首位に立つなど、今大会を通じて安定したプレーを見せました。
最終日18番ホールでバーディを決めて-11でフィニッシュし、見事2位タイを獲得。
「ミスしてもきちんとリカバリーできた」という本人のコメント通り、冷静さを保ちながら最後まで優勝争いに絡み続けました。
初優勝こそ逃したものの、この経験は必ず次に繋がるはず。
長年JLPGAツアーを支えてきた彼女の今後の飛躍に期待が高まります。
金澤志奈選手の快進撃で2位タイ(-11)

ツアー未勝利ながら、今大会で存在感を示したのが金澤志奈選手です。
3日目終了時点で後藤未有選手と1打差の2位タイに付け、最終日も粘り強いゴルフを展開しました。
18番ホールで会心のバーディを沈めて-11。
鈴木愛選手の完璧な優勝ゴルフには及びませんでしたが、堂々の2位タイフィニッシュは大きな自信になったでしょう。
まだ初優勝のないフレッシュな選手として、今後のツアーでブレイクする可能性を十分に感じさせる4日間でした。
この経験を糧に、念願の初勝利を掴む日も近いかもしれません。
これからの展望:関係者全員の再出発

鈴木愛選手の賞金女王争い
今季初優勝により、賞金女王争いに再浮上した鈴木愛選手。ベテランらしい安定感で、残りシーズンも注目です。
阿部未悠選手の今後
今回の4位タイという結果は、確実に彼女の自信になったはず。
プレーで結果を示し続ける—それが今の彼女にできる最良の対応なのかもしれません。
JLPGA全体の課題
小林会長が言うように、協会全体でのコンプライアンス強化は急務です。
でも同時に、選手一人一人への「ケア」も忘れてはいけません。
まとめ:正解のない複雑な問題
阿部未悠選手の今回の健闘を、どう評価するか。
競技成績だけ見れば文句なし。
でも、人間性や社会的責任という観点では、まだ課題が残るのも事実でしょう。
ただ、この問題に「完璧な正解」はありません。
協会も、選手も、ファンも—みんながそれぞれの立場で最善を尽くそうとしています。
大切なのは、一方的な批判ではなく、建設的な議論。そして何より、同じ過ちを繰り返さない環境作りです。
阿部未悠選手の今後の活躍と成長を、温かく、でも厳しい目で見守っていきたいと思います。
出典・引用元
週刊女性PRIME「阿部未悠がついに口を開くも」jprime
ALBA Net「元女王・鈴木愛が逆転で今季初V」alba
スポーツ報知「阿部未悠『自分から言えることはありません』」golf.hochi+1
日刊ゲンダイ「3股不倫男性キャディーは廃業へ」nikkan-gendai
GDOゴルフニュース「不倫報道の女子プロ3人に厳重注意」news.golfdigest
GDOゴルフニュース「阿部未悠『ご迷惑をおかけしてしまった』」news.golfdigest

コメント