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部活動のパワハラ・いじめを防ぐ5つの対策|元教師が実践方法を徹底解説

こんにちは、なおじです。

「ちょっとしたいじり」が、ひとりの人生を壊してしまうことがあります。

2025年、仙台育英、広陵、藤枝東と、名門校で次々と部活動のいじめ問題が発覚しました。

私が教師をしていた35年間でも、部活動は最も「いじめの温床」になりやすい場所でした。

なぜ勝利を目指すはずの部活動で、仲間を傷つけることが起きてしまうのでしょうか?

教師時代、私は何度も見てきました。

勝利の歓声の裏で涙を流す生徒を。「チームのため」という大義名分が、個人の尊厳を奪っていく現実を。

そして、大人たちがその構造に気づけない恐ろしさを。

このブログでは、部活動のパワハラ・いじめの実態と、元教師として現場で学んだ具体的な予防策をお伝えします。

サッカー少年
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目次

部活動のパワハラ・いじめ|2025年の衝撃事例

仙台育英サッカー部|3年間続いた構造的いじめ

2025年11月、名門・仙台育英サッカー部が全国大会出場を辞退しました。

理由は部全体の構造的いじめです。

被害生徒は1年生の時から3年間、「うざい」「デブ」といった暴言を浴び続けました。

その結果、抑うつ症状と診断されたのです。

驚くべきことに、学校は2024年5月に一度報告を受けていました。

でも、十分な改善ができなかった。訴えても変わらない絶望が、どれほど深い傷を残すか。

104年の歴史で初めての辞退という重い決断に、教育界全体が震えました。

広陵高校野球部|上級生による暴行と性的強要

2025年1月、広島県の広陵高校野球部で衝撃の事件が発覚しました。

寮でカップ麺を食べた1年生に対し、上級生4人が暴行を加えたのです。

胸ぐらをつかみ、頬を叩く。

さらに性的強要まで行われていたとされています。

学校は「暴力行為」と認定しましたが、「いじめ」としての正式認定は行われませんでした。

被害生徒は転校を余儀なくされたんです。

広陵は夏の甲子園2回戦を辞退しました。

勝利の栄光の裏で、ひとりの少年の夢が砕かれていた

この事実を、私たちは忘れてはいけません。

藤枝東・興國・彦根総合|止まらない不祥事の連鎖

静岡県の藤枝東高校サッカー部では、2024年に上級生による暴行動画が拡散されました。

大阪の興國高校サッカー部では2023年、体罰まがいの指導が内部告発されています。

2025年11月には、滋賀県・彦根総合高校野球部で部員らによる集団万引き事件まで発覚しました。

もはや「一部の学校の問題」とは言えない状況ですよね。

部活動のパワハラ・いじめは、日本全国の教育現場が抱える構造的課題なんです。

なぜ部活動でパワハラ・いじめが起きるのか

閉鎖的な人間関係が生む「沈黙の文化」

部活動には、学校生活とは違う独特の序列と空気があります。

先輩後輩の上下関係が絶対。

監督やコーチの言葉が法律。

「チームのため」という大義名分が、個人の人権より優先されてしまうんです。

心理カウンセラーはこう指摘しています。

「強豪校の部活動では、声を上げること自体が裏切りとみなされる空気が存在する。沈黙は協調と誤解され、被害が長期化する」

教師時代、私もこの**「沈黙の文化」**に何度も直面しました。

生徒が「大丈夫です」と笑顔で答えても、その目が助けを求めていることがあったんです。

「いじり」と「いじめ」の境界線が曖昧

仙台育英の校長所見には、こう書かれていました。

「部内で**『いじり』と称される不適切な言動**が繰り返されていた。顧問団は部員一人ひとりの心の状態に十分に目を配る体制を整えていなかった」

「いじり」という言葉が、いじめを正当化してしまうんですよね。

やっている側は「冗談だよ」「仲良くしてるだけ」と思っています。

でも、やられている側は地獄です。

この温度差が、被害を見えなくしてしまいます。

私が顧問をしていた時、こう伝えていました。

「相手が嫌だと感じたら、それはいじめだ。意図は関係ない」と。

勝利至上主義が生む「連帯責任」の罠

強豪校ほど「勝つこと」が最優先されます。

ひとりがミスをすれば、チーム全員が罰走。

これが連帯責任の文化ですね。

すると、チームメイトは「お前のせいで走らされた」と被害者を責めるようになります。

顧問は直接いじめていなくても、構造がいじめを生み出してしまうんです。

これが**「構造的いじめ」の本質**なんですよ。

個人の悪意ではなく、システムそのものが加害者になってしまう。

だから根が深いんです。

部活動のパワハラ・いじめを防ぐ5つの対策

①「いじり」を絶対に許さない文化を作る

「冗談だから」「いじりだから」は、いじめの免罪符にはなりません

監督・コーチは年度初めに必ず伝えるべきです。

「このチームでは、人を傷つける言葉は一切許さない。たとえ冗談でも、相手が嫌だと感じたらアウトだ」

私が顧問をしていた時は、部員全員で**「いじめ防止の誓い」**を毎年作成させていました。

自分たちで決めたルールは、守る意識が高まるんです。

「いじり」と「いじめ」の境界線は、やられている側が決める。

この原則を、全員が共有することが第一歩ですね。

②匿名で相談できる仕組みを整える

「先生に言ったら裏切り者」と思われるのが怖くて、被害生徒は声を上げられません。

だから匿名の相談箱が必要なんです。

私の学校では、職員室の前に相談ボックスを設置していました。

名前を書かなくてもいい。

誰が入れたかわからない。

これだけで、相談のハードルがぐっと下がります

今ならオンラインのアンケートフォームも有効ですよね。

Google Formsなどで匿名回答を設定すれば、スマホからでも相談できます。

部活動のパワハラ・いじめを防ぐには、**「言いやすい環境」**を大人が作ることが不可欠なんです。

③保護者との定期的な面談を必須にする

部活動の問題は、保護者が気づいて初めて表面化することが多いんです。

仙台育英のケースも、被害生徒が抑うつ症状になって、ようやく学校が動きました。

もっと早く保護者面談があれば、防げたかもしれません。

だから、年に2回は保護者面談を設定すべきです。

「お子さん、部活動は楽しんでいますか?」「最近、様子に変化はありませんか?」

**この質問だけで、救える命があるんです。

**大げさではありません。

実際に、私は何人もの生徒を面談で救ってきました。

④連帯責任の罰則を廃止する

ひとりのミスでチーム全員に罰を与える。

この指導方法は、いじめの温床です。

「責任は個人が取る。チームメイトを責めるのはお門違いだ」

この当たり前を、指導者が明確に伝える必要があります。

私が顧問だった時代、連帯責任を一切やめたら、むしろチームの雰囲気が良くなりました。

助け合いが生まれたんです。

連帯責任は「団結力を高める」と信じられていますが、実際は仲間を責める文化を作るだけ。

部活動のパワハラ・いじめを防ぐなら、この古い慣習は今すぐ捨てるべきですね。

⑤第三者委員会による定期チェック

学校内部だけの調査では、限界があります。

外部の専門家(弁護士、心理カウンセラー、元教師など)による定期チェックが必要なんです。

年に1回、部員全員に匿名アンケートを実施し、第三者が分析する。

これだけで、隠れていた問題が浮き彫りになります。

仙台育英も広陵も、もっと早く外部の目が入っていれば、防げたかもしれません。

「内部で解決しよう」という姿勢が、問題を深刻化させてしまうんですよ。

保護者ができる3つのこと

①子どもの変化に敏感になる

「部活に行きたくない」は、SOSのサインです。

  • 朝、起きるのがつらそう
  • 部活の話を一切しなくなった
  • 食欲がない、笑顔が減った

こんな変化が見られたら、すぐに声をかけてください。

「最近、部活どう?楽しい?」ではなく、**「何か困ってることない?話せることがあれば聞くよ」**と、具体的に聞くのがコツです。

子どもは親に心配をかけまいと「大丈夫」と言いがちですから。

言葉ではなく、行動と表情から読み取ることが大切なんです。

②学校に遠慮せず、何度でも相談する

仙台育英の被害生徒は、2024年5月に一度学校に相談しました。

でも改善されなかった。

1回で諦めてはいけません。

「以前相談したのに改善されていません。」

「再度調査をお願いします」と、何度でも伝えましょう。

必要なら、教育委員会や弁護士に相談するのも選択肢です。

私立学校の場合、行政の指導が及びにくいという問題もあります。

でも、声を上げ続けることが、子どもを守る唯一の方法なんです。

部活動のパワハラ・いじめを防ぐには、保護者の「しつこさ」が武器になりますよ。

③「部活をやめる」という選択肢も伝える

子どもは「せっかく入った強豪校だから」「仲間を裏切れない」と、自分を追い込みがちです。

でも、命より大切な部活動なんてありません。

「つらかったら、いつでもやめていいんだよ。お父さんもお母さんも、あなたの味方だから」

この一言が、どれだけ子どもの心を軽くするか。教師時代、何度も見てきました。

逃げることは、恥ではありません。

自分を守る勇気なんです。この価値観を、親が示してあげることが大切ですね。

まとめ|部活動のパワハラ・いじめを防ぐために

よくある質問(Q&A)

Q1. 部活動のいじめとクラスのいじめは何が違いますか?

部活動のいじめは、閉鎖的な人間関係と上下関係、勝利至上主義が重なり合い、より深刻化しやすいという特徴があります。「チームのため」という大義名分が、いじめを正当化してしまうんです。

Q2. 顧問の先生が気づいていない場合、どうすればいいですか?

まず保護者から顧問に直接相談してください。改善されない場合は、学年主任、教頭、校長へと段階的に相談を上げていきましょう。必要なら教育委員会や外部機関も頼ってください。

Q3. 「いじり」と「いじめ」の境界線はどこですか?

**やられている側が嫌だと感じたら、それはいじめです。**やっている側の意図は関係ありません。この基準を、すべての指導者と保護者が共有する必要があります。

Q4. 連帯責任の罰則は、本当に悪いのですか?

はい。連帯責任は、ミスをした仲間を責める雰囲気を作り、いじめの温床になります。責任は個人が取るべきで、チーム全体に罰を与える指導方法は、教育的効果がありません。

Q5. 子どもが「大丈夫」と言っても、心配な場合は?

子どもは親に心配をかけまいと「大丈夫」と言いがちです。表情、食欲、睡眠の変化など、言葉以外のサインを見逃さないでください。違和感があれば、学校に相談して問題ありません。

なおじの視点|部活動は誰のためにあるのか

35年間教師をしてきて、何度も自問しました。

「部活動は、誰のためにあるのか?」

答えは明らかです。生徒のためです。

勝利のためでも、学校の名誉のためでも、指導者のプライドのためでもありません。

仙台育英も広陵も、本来は素晴らしい教育機関です。でも、いつの間にか「勝つこと」が目的になり、「人を育てること」が二の次になってしまった。

部活動のパワハラ・いじめを防ぐために、今こそ私たち大人が、この原点に立ち返る必要があるんです。

「強いチーム」より「幸せな生徒」を。

この当たり前を、全国の教育現場で実現したい。それが、元教師としての私の願いです。


このブログが、部活動のパワハラ・いじめを防ぐきっかけになれば嬉しいです。

なおじ

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